ティンバーフレームの基本構造は柱と梁であり、これは日本の在来工法と類似しています。また金釘を使用せずに組み上げるこの工法は、日本の宮大工が古くに神社や仏閣を建てた工法とも類似しています。
日本の工法との決定的な違いは、ティンバーフレーム工法では20cm角の断面積を持つ相当に太い木材を使用するという点です。日本の在来工法では主に10~12cm角の木材を使用しますので、4倍近くの太さの木材を使用することになります。一般的に建物の柱や梁の太さは、建物にかかる重さや風など外部からの力の大きさによって決定されます。柱や梁が太いということは、自重をしっかりと支え、外部からの力にも強いということなのです。
また自重に対する耐久力は、柱や梁の間隔の広さに反比例します。大径木を使用することで、非常に広く室内の空間を設定できるのです。ヨーロッパやアメリカで愛されてきた建築法である理由がここにあります。空間設計の自由度の高い建築法――それがティンバーフレーム工法なのです。
日本の宮大工はかつて金釘を一切使わずに柱や梁を組んでいました。長い歴史の中で何度も大きな地震に見舞われた日本――彼ら宮大工が経験則から学んだ、もっとも耐震性に優れた組み方こそが、金釘を使わずに「ほぞ(凸)」と「仕口(凹)」によって組み上げていく「ほぞ組み」工法だったのです。
同様にティンバーフレーム工法では、柱や梁を「ほぞ組み」工法によって組み上げます。金釘を使用せず、代わりにハードウッドの木栓(込み栓)を使用して木材を固定するのです。この工法も、日本の寺社建築と同様、非常に耐震性に優れています。洋の東西こそ違えど、堅固な木造建物を求めて生み出された工法がほぼ同じであったというのは必然なのかもしれません。
現代のティンバーフレーム工法では、それらの伝統的な技術で建物の上物部分を組み、基礎などのコンクリートや鉄、柱脚部などは、ボルトやビス、メタルプレートなどで固定します。
北アメリカ東海岸から中央部の地域では、ティンバーフレーム工法にオーク材やホワイトパイン材を使用します。オーク材は強度・硬度・色・木目の美しさなどが高く評価されている高級木材です。ホワイトパイン材はオーク材と比べやや柔らかいものの、節が少なく木目の落ち着いた上品な仕上がりを見せる木材です。
北アメリカ西海岸地域ではカナダ栂(つが)、ダグラスファー(米松)が主に使用されます。共に日本国内でもよく知られている代表的な構造材です。米松の原木は芯を外して木取りできるほど太く、地割れの少ない木材です。また北アメリカやアラスカでは檜(ひのき)も使用しますが、森林保護の観点から近い将来入手が困難になると言われています。これらの木材は、現在の日本ではなかなか見られない直径100cm以上の大径木です。日本のティンバーフレーム住宅の材料は、そのほとんどを輸入によりまかなっています。
